赤い花束
ふるる
花束をもらったのは
もう随分前のことだ
大きくて赤い
松明のような花そのあかりが
次第に痩せて暗くなっていくのが
寂しかった
怪我をして入院中
病室まで訪ねて
炎のような花束をくれた
私たちは
あかあかと生きているものを挟んで
ただ黙っていた
見舞いの花にしては立派過ぎる
と夫が眉をひそめた
誰にでも優しい人なの 私は答えた
それ以来
誰かから花束をもらったことはない
燃える想いの依り代としての
全てをあやうく滅ぼそうとする
赤い花束など
は
自由詩
赤い花束
Copyright
ふるる
2009-06-11 00:18:23
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