ゆびについて
あ。

遠くばかりを探していたら
いつの間にか目の前に立っていた
思わず向けてしまった人差し指

音楽の授業でピアノのテスト
弾けないわたしは放課後まで練習
ミの位置にはいつも中指

教えてくれたあの人はぶっきらぼう
でも上手く弾けるとこぼれそうな笑顔で
黙って強く立ててくれた親指

もしかしたら、繋がっているのかも
楽譜に並んだおたまじゃくしより単純な
幼くて未成熟な甘いこころ

時は、いつだって変わらぬはやさで流れる
過去は消えないけれど、思い出すものになる

遠くを探せばちゃんと遠くにいた
手を振るきみに大きく振り返す
良く晴れた太陽に反射する指輪をつけた薬指

二人の間にも周りにもたくさんの人
おしゃべりなきみとおしゃべりなわたし
つまづく人がないように赤い糸をはずした小指

今のきみとわたしに必要なのは糸じゃない
いつまでも側にいてくれたたくさんの人たちと
寄り添い触れ合えるこころのゆびさき


自由詩 ゆびについて Copyright あ。 2009-06-09 23:46:48
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