ゆびについて
あ。
遠くばかりを探していたら
いつの間にか目の前に立っていた
思わず向けてしまった人差し指
音楽の授業でピアノのテスト
弾けないわたしは放課後まで練習
ミの位置にはいつも中指
教えてくれたあの人はぶっきらぼう
でも上手く弾けるとこぼれそうな笑顔で
黙って強く立ててくれた親指
もしかしたら、繋がっているのかも
楽譜に並んだおたまじゃくしより単純な
幼くて未成熟な甘いこころ
時は、いつだって変わらぬはやさで流れる
過去は消えないけれど、思い出すものになる
遠くを探せばちゃんと遠くにいた
手を振るきみに大きく振り返す
良く晴れた太陽に反射する指輪をつけた薬指
二人の間にも周りにもたくさんの人
おしゃべりなきみとおしゃべりなわたし
つまづく人がないように赤い糸をはずした小指
今のきみとわたしに必要なのは糸じゃない
いつまでも側にいてくれたたくさんの人たちと
寄り添い触れ合えるこころのゆびさき