くちなし

なまぬるい風に乗って
運ばれて来た くちなし の香り

遠い昔の記憶も
最近のあの悲しい思い出も
呼び覚まされる

優しいのにあまったるい
どうしようもない嫌悪感
やりばのないこの むなしさ

疲れた顔して 壁にもたれる
あなたには触れられない
気がつけば すぐ近くで香るくちなし

気高く、強すぎる香りは
今のわたしには辛すぎて
風の方向が変わるを
ただ、ただ祈ってる 


自由詩 くちなし Copyright  2009-06-08 00:51:59
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