六月七日
nonya
雨音に見張られて
夢に溶けることも
ままならなかった夜も
いつの間にか明けて
乳白色に霞んだ
意識の繋ぎ目に
濃い目のコーヒーを
注意深く注ぎ込んだ
雨の残り香のする
雨戸を一気に開けると
レプリカの夏が光を
跳ね上げながら逃げて
発泡する土の匂いに
窒息しかけた躑躅の上で
アシナガバチが忙しなく
希望を拾い集めていた
見上げれば穏やかな青を
西から東へ流れながら
雲は笑いを噛み殺して
無節操に髪型を変えて
今吹いたばかりの
風の端っこを軽く噛んだら
昨日までの虫歯に染みて
思いがけず頬が緩んで
わけもなく
追いつけたような気がした