「海鬼灯」(うみほおずき)
月乃助


紺碧が縁取る横顔
見据える
隻眼の瞳が臨む先には、
空色に侵食された蒼海

逃げ場を求める波は、
止むことを知らず、創痕を刻む
波頭に
光の愉楽をちりばめ、象眼が
飛沫の相好を砕き
岩を濡らしては、犯す

痩身の女は一人
磯に佇み、草々
洗われる無数の魚卵と見紛う
海が孕ました海鬼灯の叢生に
母親の目を落とし
そこから群れ出る
海の子の誕生を
舞い上がる水煙に、思い
描いた




自由詩 「海鬼灯」(うみほおずき) Copyright 月乃助 2009-06-07 03:27:00
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