架空の空
瀬戸内海

さぁ全速力で
ジャンパを伝って走りぬけろ
決して両手を広げる?17には触れることなく
クリスマスツリーダンパを揺らしながら
上中下も白青赤も気にすることなく
架空の空を駆け抜けろ

懸垂と耐帳を繰り返し飛び越え
風が笑う横を猛スピードで走りぬける
アークホーンにはアーク痕
少し欠けた碍子に心臓は飛び跳ねる
そうだ 俺が走った後には傷が残るぞ

墜落防止ハイレールは長すぎて
回線表示は経年劣化で薄れゆく
何十年という月日をただじっと耐え
いつか素線も緩みゆく
それでも 俺は耐えるぞ

そして飛び込め
地中へと勢いのままに
周囲には誰も近付けることなく
全ての源になるために

まるで毛細血管
すみずみまで供給するのだ
文明には欠かすことのできない存在だから
走り抜けろ
駆け抜けろ
架空の空をひたすらに



自由詩 架空の空 Copyright 瀬戸内海 2009-06-07 00:44:32
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