六月
非在の虹

天気図の上に一本の線が描かれている
その上を歩いているのはきみだ
きみは日本列島を気軽に縦断してしまう

雨の日
きみは美しい声で語るのだ
温帯のこの土地に降る
雨のエネルギーについて
こんなにも静かな
雨のちからとは何なのだろう
そうだ 生と死を
つくり出すもの
ぼくたちは雨のちからで生きている
死について語るまえに
死は僕に訪れるかもしれない
そのときも きみは雨について語ってくれるだろうか?

天気図のうえに一本の線が描かれている
街ゆく人々の手から ふっと 雨傘が消える
おどろく人々は ただ雨音に包まれているだけだ


自由詩 六月 Copyright 非在の虹 2009-06-05 18:27:46
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
歳時記