長押 新


許さないから
与えない
見捨てるために
置き去りにする
そのために
口を捨てる

老人のように聴衆の中に立つ
彼らと同じ土の中から生え出た
私の体はいったいいつ
老人になるのだろうか
雨が降らないから
渇いてしまう
乾いた空気が
どこまでもじっと続いている
指先や足先から土は
砂となるのか笑い転げて
あぁ土の香りが漂っている


喉を駆け上がる言葉
それが湿り気を帯びながら
いっとき笑いを鎮めさる
ただぼんやりと悲しんでいる
それだけを忘れるように
耳を傾けると
そこからも滴る
すべて土の上に捨て去る
そのために今
じっと立ち続けている


許さないから
与えない
見捨てるために
置き去りにする
そのために
口を捨てる


自由詩Copyright 長押 新 2009-06-03 18:08:17
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