磯芸術
サトタロ

磯の香りをまとったおばはんに身を委ねて
吉継は考えていた
このおばはんは
俺のような若い男を集めて
意味の分からんことをしている
壁も床も真っ白な
がらんとしたこの殺風景なアトリエの
(白ホリのスタジオと言ってもいい)
真ん中に男を立たせて
大きな木枠に紙を貼った
巨大な障子みたいな物体を
昔のコントみたいに上から落とす
結果として男が紙を突き破る
その様子をビデオで撮影して
発表する
さらにはその紙の破けた「障子」を
破った男の写真を添えて
オークションに出品する
おばはん、濡れ手で粟だな
吉継は苦々しげに呟いた
しかしこの磯臭さ


自由詩 磯芸術 Copyright サトタロ 2009-06-03 00:53:46
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