ふつふつ
高橋魚
南西の天から届いた柔らかな陽光が
世界に張られた糸を弛ませる
糸に絡まっていたわたしは
自力で立つことを忘れていたので
膝から崩れ落ちた
しかし
大地も
陽光に解かれていたので
わたしはやさしく受けとめられた
まるで海に浮かんでいるようだった
樹々が頬を弛ませさわさわと囁き合う
微風に揺れているのではない
あれは
踊っているのだ
金色の布に包まれることで
植物も身体を動かすことが出来るのだろう
しかし糸は
徐々に元の姿に戻りだし
わたしは再び社会に漂着するのだ
するのだが
その砂浜に打ち上げられたわたしは
新しいわたしだ