背中の窓
塔野夏子
気づくと
背中に窓があった
木の枠の 両開きの窓だ
閉じられているその窓を
覗き込んでいる自分がいた
中には 止まった時計と
傾いだ天秤が見えた
やがてその窓の中にも
自分があらわれて
窓に近づくとそれを開け放った
そして窓の中の自分と
窓の外の自分とは
言葉を交わした
ありふれた挨拶と
お天気の話だ
気づくと
背中に窓があった
窓の中の自分にも 窓の外の自分にも
やはり木の枠の 両開きの窓だ
中には 止まった時計と
傾いだ天秤が見えた
自由詩
背中の窓
Copyright
塔野夏子
2009-05-27 11:14:36