童話風味
北乃ゆき

−これが最後の食事にしよう

木編みのバスケットに
お手製のブルーベリーケーキを入れて
もみの木に囲まれた坂道を下って
大好きなあなたのもとに
ランチをしにむかいます

−君には申し訳ないと思う

青空と深緑の木々の境目が
パステル画のように穏やかで
子供のころに読んだ絵本達に紛れ込んだみたい

−他に一緒に暮らしたい人がいるんだ

しあわせだわ

空に向かって私はささやく

しあわせよ

童話の主人公のように無邪気につぶやく

−すまないと思っている

だいすきな
あなたのもとに
もみの木に囲まれた坂道を下って
足取りは軽やかに
  
−申し訳ない 申し訳ない

木編みのバスケットに
特製のブルーベリーケーキを入れて
だいすきなあなたのもとにかけていくの

−もう君を愛してはいないんだ

特製のブルーベリーケーキを
あなたとふたりきりでたべるのよ

−これが最後の食事にしよう
ええ、これが最後のデザートよ



もうすぐ
童話の世界で

おうじさまと
おひめさまに




しあわせだわ


しあわせだわ



自由詩 童話風味 Copyright 北乃ゆき 2004-08-31 07:19:28
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童話風味