流水
衿野果歩

川べりを歩くように
線路沿いを歩く

この街はせわしないから
列車に幾度も
追いつかれては追い越される

たくさんの人の思いが
列車に乗って
近づいては遠ざかる

まるで別の時間軸で
僕らは進んでいるようで


川べりを歩いたとき
君はそっと手を伸ばした

流れる笹の葉は君をかわして
水の感触だけその手に残った

僕は笹の葉に乗って流れていく
君を想像した

あのとき
流れの外にいたのは
どちらだったろう

遠ざかっていったのは
過去と未来と
どちらだったろう


自由詩 流水 Copyright 衿野果歩 2009-05-26 19:15:09
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