「僕/君/くじら」
日朗歩野
生まれたばかりの君は
まだ数えるほどしか
ものを
もってない
まだ ものを 欲しがらないし
きっと わからない
でも、「これを君に。」ってあげるとき
僕はとてもドキドキする
君のものなんだよって
おなかにのせてみたりする
またしても
時間を飲み込んだ やさしいくじらが
僕のおなかの中にあらわれる
そして
「ほんとうに よかった。」って
気持ちの波が みるみる僕から溢れて
僕らを包む
生まれたばかりの君は
あたたかい光の海に
つながっていて
くじらは そこにすんでいるんだとおもう。