水没
アヅサ



銀色の糸で夜空の端を結んで
葉緑素だけつめたはこのなかに
すこしずつ流し込んでいく
そしたら女の子がおどろいた顔で
真珠のような瞳をみひらいて
でもそのあとすぐ微笑った
無機物の甘やかな匂いがする
僕はそれを肺いっぱいにすいこむ


女の子のうすい胸に夜明けが映るよ
つららのようなまつげ
水素と酸素をまぜたら朝になって
空気はまだすこし海みたいだった




自由詩 水没 Copyright アヅサ 2009-05-24 12:19:52
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