説明
Ohatu


 ひとは、ただ生きることに満足できなくなった

 鳥の羽をむしりとって背中に付けてみたが飛べなかった

 馬の首をはね、その四肢を付けてみたが速くはならなかった


 ひとは、騙されたいと願った

 きれいに飾ったにせものを贈り合い、笑ったふりをし合った

 報道や広告はすべて、その倫理まで信じることにした


 ひとは、無限なものにあこがれた

 ものの価値は無限に高まると信じ、実際、そんな値札を付けてみた

 街を歩く老婆にしわは無く、乳房は張っていたが、美しくはなかった


 ひとは、滅び方を忘れてしまった

 しかし、間もなく誰かがそれを思い出すだろう

 生と死は、自由に選択される日が来る


 ひとは、いつからか生きることを嫌悪していた

 血も、汗も、その他身体から生まれるすべてを嫌い

 それでも、途中までは、人を愛そうと、していたのかも知れない


  









 


自由詩 説明 Copyright Ohatu 2009-05-23 14:32:37
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