説明
Ohatu
ひとは、ただ生きることに満足できなくなった
鳥の羽をむしりとって背中に付けてみたが飛べなかった
馬の首をはね、その四肢を付けてみたが速くはならなかった
ひとは、騙されたいと願った
きれいに飾ったにせものを贈り合い、笑ったふりをし合った
報道や広告はすべて、その倫理まで信じることにした
ひとは、無限なものにあこがれた
ものの価値は無限に高まると信じ、実際、そんな値札を付けてみた
街を歩く老婆にしわは無く、乳房は張っていたが、美しくはなかった
ひとは、滅び方を忘れてしまった
しかし、間もなく誰かがそれを思い出すだろう
生と死は、自由に選択される日が来る
ひとは、いつからか生きることを嫌悪していた
血も、汗も、その他身体から生まれるすべてを嫌い
それでも、途中までは、人を愛そうと、していたのかも知れない