もしあたしがのっぽになったら
みぞるる

もしあたしがのっぽになったら、
高いところのものを自分で取ってみる。

もしあたしがのっぽになったら、
男子を見下ろしてみる。
ついでに
学校も見下ろしてみる。

すると、学校があまりにもちっぽけで
ちょっとくらくらするのかもしれない。



もしあたしがのっぽになったら、
自分のお家を学校の隣にお引っ越し。
空の綿菓子も口に頬張ってみる。

雲が掴めなくてイライラしたから、
山を枕にお昼寝するのかもしれない。



もしあたしがのっぽになったら、
モンゴルの草原を指で撫でてみる。
イスファーンの建造物に涙してみる。
遠い異国の地を垣間見てみる。

世界を知った私は、
それでもやっぱり
あくびしかできないのかもしれない。



もしあたしがのっぽになったら、
お月様とお話する。

「どうしてあなたは夜に出てくるの?」
「みんなの夢を受け止めるためさ」
「どうして夢を受け止めるの?」
「みんな夢を、野放しにしてるからね」



もしあたしがのっぽになったら、
星を食べたり、
土星のわっかを被ったり、
銀河系を泳いだり、
やりたいことはたくさんあるけど、
一番にすることは決まってるのに。

テレビの前で、ちっぽけなあたしは大きなあくびをした。




自由詩 もしあたしがのっぽになったら Copyright みぞるる 2009-05-23 14:03:09
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