五月の夜/六月の闇
吉岡ペペロ
彼女と仕事をしてると楽しかった
たぶん仕事が終わればそんな気持ちもなくなるって思ってる
ぼくはクリエーターだ彼女は実務をしてくれてる
この広告の小冊子づくりが終わればチームは解散する
ちょっとした言葉づかいや色づかいで
1ミリや2ミリの画像の位置で
どれがいいのか分からなくなってくるフォントの選択で
彼女の帰宅時間はこの数ヶ月間遅れっぱなしだ
だけど飯に誘ったことも一緒に帰ったことも
ましてや夜を誘ったこともない
ただどきどきしながら共同作業をしてるだけだ
それはそういうことの結末を僕が知ってるからだ
五月の夜は六月の闇の深さに続いてる
花や緑の芳しさに釣られることはもうない
それはそういうことの結末を僕が知ってるからだ
彼女と仕事をしてると楽しかった
たぶん仕事が終わればそんな気持ちもなくなるって思ってる
ぼくはクリエーターだ彼女は実務をしてくれてる
この広告の小冊子づくりが終わればチームは解散する