folie a deux
mmm



だから私は何度も何度も言い続けた。
"もしもし? もしもし? 大変です――もしもし?大変なことが起きたんです――もしもし? 人が刺されたんです――聞こえませんでした――私には聞こえないんです――もしもし?"――――――



右手には錆びたハサミ
切れ味最悪
だけど私たちを終わらせるには充分過ぎた
なぜならそれはあなたの心臓目掛けて
一寸の狂いなく突き刺さったから
あなたはなぜか心底納得した顔で
私とハサミを交互に見つめた
そうして赤く染まり始める私たちを

誰かが見てたらどう思っただろう?
狂ってる?果たしてどうか
何もおかしなところはなかった
ハサミを持ってたのは足じゃなく手だったし
人から血が出ることも
人が死ぬことも
すべて当たり前のこと

でも何かがおかしい
私たちは何をしたのか?
耳を焼き目を潰してまで誓った
二人は一つだった
それなのに


いつの間にか私の手には真っ赤なハサミ
肉片と血液でめちゃくちゃ
だけど私たちを終わらせるには充分だった
なぜなら私はあなたの心臓目掛けて
一寸の狂いなくそれを突き立てたから

狂ってる?果たしてそうか
ずっと前から何かがおかしかった
もしかしたら最初から
目を潰し耳を焼いたときから
二人は一つだった
心から愛し合っていた
なのに

何かがおかしい
あなたは真っ赤で
私の頭は真っ白
誰に何をどう言えばいいのか
他に誰かがいたら教えてくれただろうか
すべての私たちがやったこと
何もおかしいことはない
私たちがやったこと
それがおかしい
確かに二人は一つだったのに
そう 確かに 私たちは
一つだったのに





自由詩 folie a deux Copyright mmm 2009-05-22 03:43:16
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