椅子
瑠王



部屋には誰もいない

椅子は何もいわない

凝った細工 剥げた塗料 底しれぬ存在感

空間を支配する四本の細い足


ひたすら、椅子は待つ


部屋があふれてしまえば

椅子は消えてしまうのだろう

ただ、静寂がくれば

凛としたそれを解き放ち

空間を支配する四本の細い足


黙然として

椅子は全てに誇示するのだ


命など要らない

魂はいつでも宿るのだから


ひたすら、椅子は待つ


座するをではない

独りになるその時を







自由詩 椅子 Copyright 瑠王 2009-05-20 16:41:56
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