おぼれる。
あ。
熱い生成りのロウで封をした
真っ黒の布をかけて見えなくして
夜みたいな部屋に投げ捨てていた
そんな忘れかけていたものが
ふとした、はずみで
なが、れる。
止める事なんて出来るはずもなく
誰にも見せたくないものが
隠しておきたかったものが
古ぼけたヨゴレモノが
せきを、きって
あふ、れる。
つまさきから色が変わる
薄桃色から少しずつ黄土色へ
更に暗く灰色になり濁り始める
見たくないからふたをして
なかったことにして笑ってた
そしたらいつか本当に
なくなってしまうんじゃないかって
そんなの、さっかく
よご、れる。
みんないなくなりますか
わたしはひとりになりますか
そのくらいのほうがいいのですか
思考は勝手に歩き始める
胸の壊れる音が聞こえた
砕けた世界にその身をゆだね
いきが、できない
おぼ、れる。