バスケットボール

僕たちは

諦めることに慣れていたのかもしれない


だから

島の美しさとか
戦の悲しさとか
人の優しさとか


全部全部押し付けて
なけなしのプライドで生きてきたのだ


なぜ此処へ来たの
とてもいいところでしょう

その問いは
たいていの場合
期待される答えを持っている

でも本当のところ

もっともっと愛されたい

そんな叫びの裏返しでもある

いつまでも届かないように感じる
その苦々しさを
時間の流れのせいだとうそぶいて
心のざわめきを

そっと丸めているのだ


ここに生きる人たちは皆

何かを諦めながら
それでもこの島を愛している

ぬるい潮風の中でしか
自分が自分でないことも知っている
華やかな女優達を誇りに思いながら
冷えた都会を恐れながら

重苦しい現実を
酒とタバコとスパムで紛らわせて


新しい風が吹くのを
少しばかり残った希望で待っていた


王国なんて言葉
もう誰も覚えてなどなかったけれど

僕らは金色のユニフォームが大好きだった


指笛が聴こえた
指笛が響いていた


あんなに小さな体育館から
あんなに大きなアリーナに

本当に

新風みいかじが吹いたのを観た




僕らはもう、諦めなくてもいいのかと思ったりして



忘れない、という思いで


ローカルニュースを聴いているのだ






自由詩 バスケットボール Copyright  2009-05-18 22:55:29
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