貴方は拒絶反応を起こし、その闇に投げ込まれた犬一匹をいかにして殺すか考えるでしょう。
ひとなつ
私が犬だったら駆け抜けるでしょう
荒野でもなければ、廃れた街でもない
あなたの闇の中を・・・・
あなたは拒絶反応を起こし
その闇に投げ込まれた犬一匹をいかにして殺すか考えるでしょう、そして
人間世界だったら確実に核に匹敵するであろうアブサン酒のような薄ヨモギ色の弾丸を
私の肩に撃ち込むでしょう、しかし
私はあなたの攻撃に怯みません
ピストルを撃っているのは貴方の手ではなく、「闇」そのものだと分かっているからです
私の前足は地面に跳ね返った弾丸に食われ、砕け散り、消し飛び
脳は揺れました
しかし、まだ後ろ足が残されているのです
私は後ろ足で踏ん張って、顎を地面に押しつけ上下にくねらせて進みます
そのとき、椅子の脚が見えました
包帯でぐるぐる巻きにされた貴方の足も見えます
その包帯に視線を伝わせ見上げるとミイラのような貴方が見えました
全身がぐるぐる巻きで、口元に薄っすらと血が滲んでいます
薄れゆく意識の中、貴方の首元に包帯の先端を見つけました
私は懇親の力で地面を蹴り上げると、包帯の端にめがけて飛びました。
そのときです
私と反対の方向から飛んでくる弾丸が見えました
私の左目にめがけて飛んでくる薄ヨモギの弾丸は
まるで世界が静止したように、
だんだん大きくなり
回転しているのが分かりました
私は砕け散りました。
音は聞こえませんでした。
しかし、これだけは確かです
貴方の包帯は、私の血で少しだけ
少しだけ染まったということだけは
自由詩 貴方は拒絶反応を起こし、その闇に投げ込まれた犬一匹をいかにして殺すか考えるでしょう。
Copyright ひとなつ 2009-05-17 05:33:09