失敗をするなら夜のうち
竜門勇気


緑の色腐れていく
食事に混じった泥に気づかないでいる
彼女が飛べると言った日から
俺はずっと彼女の街の上で
ぐるぐる回っている
意味のねーことさ
気持ちの悪いことさ
彼女が飛べると言った日から
俺は歩かなくなった

いつもの肌色日暮れ雨
山なりには粒に触るような影
彼女が俺の言葉を買いたいと言ってから
ずっと全てを売り続けている
蜜柑の房みたいな気持ちと
犬の欠伸みたいな気持ちと
本当とそうじゃないことを
彼女が「全部あげるから一つでも欲しい」と
小さな写真をくれた日から
俺は売り続けてる その写真に適うまではそのつもり

いつもどおりで済ますなら今のうちさ
また酔っ払ってしまってると
思われてるうちに
何度でも彼女にプロポーズするんだ
全部本当で全部明日にはチャラで
繰り返すんだ
ぐるぐる回るんだ
待ちぼうけの最中で幾つも甘い夢を見るんだ
今はそれでいーや
ってそんなことはねーんだ

彼女が俺を呼ぶまで
繰り返しをぶち壊す準備だけ
繰り返しの中で育ててる
君の嫌なとこを知りてーな
きたねー所を知る事をヤリてーな
彼女がすごく好きだといってくれた
俺も俺が好きになったよ
その日からほんとは俺より君がずっと好きなんだけど

せいぜい華々しく昨日が増えてる
あちこちでかい木ばっかで嫌んなる
彼女が出来ると言ったことを出来るようになりたい
俺がしたいと思ったようにしてるのさ
そばに行きたいと思って生きてるのさ
失敗するなら夜のうち 次はいつプロポーズできるだろう


自由詩 失敗をするなら夜のうち Copyright 竜門勇気 2009-05-15 08:54:07
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