夢つばめ
恋月 ぴの

駅東端の改札を抜け昔ながらの踏切を渡ると
南口商店街の低い軒先を飛び交うツバメ達に出逢った

桜は散ったばかりだと思ってたのに
あっという間に日傘手放せない季節となってしまったんだよね

多摩川の緩やかな流れを辿る道筋には
夏らしい季節の花々
たとえばそれは紫陽花であったり
花屋の店頭に盛られたグラジオラスの鮮やかさ

半袖よりもノースリーブの甘い仕草を
そしてレギンスを脱ぎ捨てた素足に水玉模様をつっかけて
習いはじめのパン作り教室へいそぐ

あのツバメ達って
どこから飛んできたのだろう
パソコンとかでぐぐってみれば答えは容易く出るのだろうけど
あえてぐぐらず
遥か遠くの見えない世界にまで思いを馳せてみたい

日焼け止めクリーム塗ってくれば良かったかな

商店街の外れにあるクリーニング屋さんの出入り口
叩き落とされたばかりの痕跡は生々しくて
あれはつがいなのだろうか
巣の跡を離れようとしない姿は哀しみを誘い
もっと他のところで巣づくりしていれば…おせっかいにも
あれやこれやと気を揉んでみたりした

もう少し歩むと左手には近藤勇ゆかりの神社が見えてくる
薄暗い階段を仰ぎ見るだけでスカート姿には鬱陶しくて

私の脇をカメラ乗せたクルマが走り抜けていった
ご丁寧にも顔を塗りつぶした私の姿と
大切な巣を叩き落された事実を受け入れがたいツバメ達と
この瞬間はひと夏の風景と化して


レースの日傘くるりとまわる


自由詩 夢つばめ Copyright 恋月 ぴの 2009-05-12 10:37:24縦
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