『透明になった君』
東雲 李葉
君に似ている人を見つけた。
似ていたんだ本当に。顔も背丈も歩き方も。
だけどそれは君じゃなかった。多分、多分、たぶん?
本当に君は世界で一人だけなのか?
世界はとってもとっても広くて。
人間はどこにだってうじゃうじゃいる。
それなら君はもしかして一人じゃないんじゃないのか?
ねぇ、今から駅前で叫んでこよう。君の名前を何度でも。
もしかしたら何人も君が見つかるかも知れない。
ねぇ、今すぐにでも叫んできちゃうよ。
8月までなんて待てない。たった今君に会いたい。
触りたい嗅ぎたい確かめたい。
何度でも叫んでしまうよ。
何度も何度も。君が見つかるまで、何度も、なんども。