血潮
ひとなつ

5時間目、書道

君の隣で「愛」を書く

君も隣で「愛」を書く

愛を込めて書きなさい、と先生

ハネ、トメ、ハライ

ハネ、トメ、ハライ

君が愛を込めた、右手の筆先
そのハライの一筆にしたたる墨汁の一滴が、

悪戯な生き物のように

私の半紙を汚す

浸透する、染み込む、そして汚す

「あ、ゴメン」

「いいの」

君の血潮
君が誰を愛していても、
受けとめたのは私なのだから






自由詩 血潮 Copyright ひとなつ 2009-05-10 17:56:01
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