パンドラの箱
こめ

普通に分かると思っていた

この没落された国家が

何の機能もしていない

パンドラの箱だということを

沸点をこしてもまだ沸騰しない
涙のアパートは

決して崩れるといった選択はしなかった

顔に染み込んだ爪痕は

自分でひっかいたあと

私のことなんか何にも分かってない

などといった女に僕は

悪感を感じた震えた

他人のことなど絶対にわかるはずがない

それを分かると返した男も明らかに

鼻が延びていたのが分かった

目を閉じても見えるのは

この世のはての幻想と幻と蜃気楼と偽りで出来た

建造物でしかないのは

誰が見ても分かることだった

逆立して初めて目の当たりにするのは

世界が反転した異色のパラレルワールド

今テーブルに出された料理に

満足するやからは

今ある物で生きていけると

愚かなたかをくくった

異邦人でしかない



自由詩 パンドラの箱 Copyright こめ 2009-05-09 20:00:24
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