ハンカチおとし
瑠王

そっとわたしはおとします

気づかぬようにおとします

あなたの背中にハンカチを

今では古びたハンカチを。

時を駆ける花の芽を

痛まぬように閉じましょう。

一夜の季節をぐるりとまわり

あなたの背中を過ぎましょう。

そのときそっと、おとします

あなたの目には入らぬよう

雨に濡れたハンカチを

言葉さえもぬきにして。





自由詩 ハンカチおとし Copyright 瑠王 2009-05-08 16:58:04
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