五月の天使たち
瀬崎 虎彦

小さく咳をして
教室に吸い込まれる
革靴だけが吸い込まれずに
僕のいない廊下に取り残される

「大学の勉強などいったい何になるか」
これは本質的な問いなので歓迎されない
チョークで汚れた僕の指と
ジャケットだけが証人台に立つだろう

それでも僕は 五月の天使たちよ
きみたちが今日もこうして教室に
足を運んでくれることを
とても とても 嬉しく思う


自由詩 五月の天使たち Copyright 瀬崎 虎彦 2009-05-08 00:37:40
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教壇詩集