ながれ、ばな
あ。
つかまえることの出来ない
角の取れた風が丸く波打つ
花ごと落ちてしまったつつじが
こつ、こつと小石にぶつかり
涼しい上流から泳いできた
花街にいる女性の唇のような
程よく熟した艶の色は
透けた河水に綺麗に映え
それは美しい染みを残し
くるりと時折回転しながら
手招きをするように花びらを揺らし
色あでやかな流れ花
自らの身体を削りながら
陰鬱な風景に
痛みかけた胸の中に
ぽっと紅の染みを落とす
全ての悲しみを
覆い隠すかのように
かつて袖を涙で濡らした
鮮やかな着物のように
自由詩
ながれ、ばな
Copyright
あ。
2009-05-07 21:53:39