叫び
nonya


見分けのつかない昨日と今日の間に
安物の叫びをはさんで
思いっきり口に押し込むのが
朝の儀式

律義なレタスと陽気なマスタードの間に
上品に叫びをはさんで
耳まで残さずに食べるのが
食事の作法

叫びは消化しづらい
時折胸の奥が夕焼けする

闇の中を転げ回り
毒の水に首まで浸かっても
もつれる舌から繰り出される叫びは
冷たい風に笑い飛ばされる

身体の真ん中を奔り狂う叫びを
必死に塞き止めているうちに
心は戯言の汗しかかかない
粗末な筋肉に成り下がる

とりあえず出かけよう

間違っても
叫びが口元からこぼれ落ちないように
ネクタイも締めたことだし


自由詩 叫び Copyright nonya 2009-05-05 19:06:21
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