上澄み論
あ。

上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる

太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている

全部、どこか
遠いところの出来事のようで
本の中のお話のようで

たくさんの直線に囲まれて
それはとてもよく出来ていた
プラマイゼロにするために
帳尻を合わせるために
ねじれ曲がるしかなかった

そんな言い訳もひねくれていて
きちんと目を開いたら
出てくるはずのない言葉なのに

ね。

ぼくたちは
綺麗なものを知るために
生まれてきたのだと
多種多様の愛情を見つけるために
生きているのだと
そう思ってしまうのは
それこそ上澄みの思想なんだろうか


自由詩 上澄み論 Copyright あ。 2009-05-05 14:11:28
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