放下着
ホロウ・シカエルボク
縮みあがった胸に刃を当て
手遅れになる前に唾を吐いた
恐怖はいつでもそこにあるから
怯えぬことよりも逸らさぬことを勇気と呼べ
割れた碗のように過ぎ去った日
真摯と呼ぶために省みるなら
色眼鏡をかけて自分を見ろ
口上だけの今日を肯定するがいい
出鱈目に書き殴られた罫線の23時
記すことも消すこともままならず
ただ
数え上げるだけで済ませるのが定めなら
何故に胎盤など切り落としたのだろう
死者の心が容赦無く浸水してくる
腰の上まで昨日だけの者たちに飲まれながら
この暦は誰のためかと
遮光カーテンをさぐる隙間風を見る
生き延びることを決めたなら勇気と呼べ
恐怖はいつでもそこにあるから
縮こまった身体を疎ましく思うなら
まざまざと迫りくる明日の脳天を
見据えたまま今日の日を眠れ
麝香猫の爪痕の夢を見て眠れ
この世の進化は外れた
だけど
捨てたものなど無い