「大後悔時代」
ベンジャミン

気がついたら、詩を書くようになっていた

記憶にある一番最初に書いた詩は「アドバルーン」
小学校四年生のときに先生に見せて褒められた

  
  一本のロープにつながれて
  ビルの谷間をのぞいてる
  風船よりはましだろう
  人はそろって言うけれど
  僕は気球になりたいよ
  自由に空を飛びたいよ
  いつかロープが切れたとき
  僕は自由な空へと飛んでゆく


褒められたくて、いろいろ書いた
小説みたいなのも書いた
ノートがたくさん、言葉にまみれて
そんな言葉たちに埋もれた記憶は
たぶん心のどこかに残っているのだろうけど
今になっては、どうにも思い出せない

あの頃にかえって
一番最後のノートの終わりに
なんて書いてあったのかを知りたいと思うけど
どこにいってしまったのかも思い出せない
それが僕の小さな後悔


気がついたら、詩を書くようになっていた
終わりのない世界に踏み込んで
泣いたり笑ったり
感情にまかせながら書いてる

書いた詩を読み返すと
そこには時代が詰まっている

気がついたら、詩を書くようになっていた
際限のない世界に漂って
それが僕の大後悔

まだ終わらない時代が続いてる
そんな後悔を積み重ねても書き続ける

それが僕の

それがきっと、僕の人生の航海
終わりがくるまで書き続ける後悔を積み重ねても

それがきっと、僕の存在
    


自由詩 「大後悔時代」 Copyright ベンジャミン 2009-05-03 22:59:30
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