うたうたいへ
木立 悟





灰緑の目を拾い
ひとつ聴き
またひとつ拾い
またひとつ聴く


頬の上にあるのに
見つけられない
遠い遠いはざまから来る
遠すぎてかたまりの音の群れ


笑みや金やひまわりや
近寄れぬものがひらきひらいて
文字ではない文字の入口
ひとりの道の重なりを描く


もうこれ以上進めぬ水の
やわらかく冷ややかな灰色を呑む
野に路傍に朽ち果てる
変わらぬおのれを見つづけながら


いつもいつも
何かが生まれ出るかのように
片方だけがうずいている
痛みも時間も点滅している


ふと うたが残っていた
そんなに長く共に居はしない
だが何かの光を共に見ていた
誰かが誰かを連れてゆく道


泣き腫らした夜のまま
朝の灰の陽を歩く
みんなみんな 花びらになる
もっともっと 花びらになる



















自由詩 うたうたいへ Copyright 木立 悟 2009-05-03 10:32:45
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