その名は、あした
あ。

叶わなかったものを
あした、と呼ぶことにした

ガラガラで出てきた白い玉
おじさんが残念でしたとティッシュをくれた
列から離れるとラッパの音が揚々と響く
真っ赤な自転車を当てた女の子は
ラッパの音と同じ顔をしていた

誰かが上手にやっていると
自分だって出来るはずと試してみる
付け焼き刃でこなせることなんて
たかがしれているってじきに気付いた

ひとはるの恋はひとはるのもので
種にまぎれて飛んでいってしまうもの
飛んでいく後押しをしたのも
いつまでもめそめそと嘆いていたのも
誰でもない自分だった

振り返ることは後悔じゃなくて
触れられるものに手を伸ばすこと

例えば
次のくじびきでは当たりが出たり
上手に出来ることが見つかったり
季節を越えた恋が見つかるかも
しれない

手を伸ばした自分も
あした、と呼ぼう


自由詩 その名は、あした Copyright あ。 2009-05-02 19:48:13
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