レールハードプラスチック
ひとなつ

君は頭のごくわずかなすきまに
生温かいミルクを注ぎ込んで
僕を騙そうとする

不安な宇宙を満たすそれが
なんなのか分かったとき
君はもういなかった

君は誰?
過去進行に思いをめぐらせる
何も見えない

見えるものは
終電まで慌ただしく、
僕の前を通り過ぎてゆく人々…
愛に背を向け何処へ向かうのか
彼らはきっと
ここから出て行ったら
消えてしまうのだろう

跡形もなくどこかへ
だから僕は彼らと違う、逆の道を選んだ
それは錆びた鉄と石ころの道
そこに耳を当ててみた
とても愛おしい声が聞こえる

心臓が高鳴る

うまく言えないけれど、
これは恋だ

その恋の道を
たぐり寄せるように歩き始めた
いまそっちに行くさ

ガタンゴトン

ガタンゴトン

光ではなく

その音が照らしだした僕が会いたかった人
ああ、来てくれたんだね。

ああ、今すぐ会えそうだ

ああ、確かに悟ったさ

僕が望んでいたものが
こんなにも激しい出会いだったなんて



自由詩 レールハードプラスチック Copyright ひとなつ 2009-05-02 00:59:41
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