木馬に乗った少年
あおば

           090501


回転木馬を回す

裏側では
大変なことが起きているのも知らずに
木馬から落馬して
笑われたりしている子らの歓声
ねじが外れた
早く停止しないと
軸が外れる
早くしろと親方が
係をぶん殴る
親方も雇われなので
頼りにならない
係は
経験未熟で
仕事がのろい
熟練した者たちは
どこにもいない
頼りになる親方もいない
ゴールデンウィークが済んだら
解体して
調べるのだと
予定表に書いて
ある

自転車の乗り方を
覚えたばかりの子供たちが
集団で
自転車専用道を走って行く
誰も彼もがスピードを楽しんでいて
「急な坂道は降りてください」の
白い立て札があるのが目に入らない
転んで泣くのは
一番下手な子と決まっているので
先頭を走る子は
面倒なことは省いて
おもいきりペダルを漕いで
面白そうに走り続ける
自転車の車軸が熱を持って
壊れるまでにはあと何年かかるだろうか
その前に
新しい自転車を購入するだろうか
自転車は走りながら
どうにもならないことを考える


自由詩 木馬に乗った少年 Copyright あおば 2009-05-01 02:11:25
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