はるか
あおば

             090430





ギョッとして振り返ると
魚の目をした人たちが
疲れた顔をして
ロムを焼いたり
ICを差し込んだり
コネクターを差したり
抜いたり
基板の組み立てと
調整に余念がない
隣では
バグが多すぎて
やる気がでないといいながら
出来たばかりのプログラムを直す
直してはロムに焼き
テストを繰り返す
お客さんは
怖い顔をして
時計を眺めているだろう

日々の作業を繰り返す
やる気が出ないのは五月の風が
あまりにも爽やかで
海へ山へと
人々は繰り出して
浩然の気を養っている
それに引き替え俺たちは
なんか元気が無くて
昼休みにぼんやりして
帰りにはウロウロすることもなく帰宅して
ぼんやりとテレビを見て
なんとなく食事をして
眠くないのに寝て
うつらうつらした挙げ句
電車の時刻に起きて
パンを囓ったまま
ヒゲを剃り
駅まで早足で歩いて行く
バイクに抜かれて
自転車にも抜かれて
駅に着くと
電車は出ていった
ふて腐れた顔で
次の電車に乗りこんで
漸く着いた会社の入り口







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、ことこさん。







自由詩 はるか Copyright あおば 2009-04-30 23:56:28
notebook Home 戻る