眩しいため息
岡部淳太郎

眩しいと思って見上げると
それぞれの吐き出す息が
ただよっているのだった。
たまったものを
ためられたものを
いっせいに解き放ちながら歩いている、と
どれが誰の息であったのか
わからなくなってくる
わからないままに
その吐き出されて放たれたままのものを
また吸いこんでいた
そうして誰かの息と自らの息を
混ぜ合わせながら
それぞれのひとり、が
かたちづくられていく
そのことに気づかないまま
たまったものを
ためられたものを
吐き出しながら歩いていた
誰もがみなそうして
わからないままで
ただ、よっているのだった。



(二〇〇九年四月)


自由詩 眩しいため息 Copyright 岡部淳太郎 2009-04-30 23:18:32
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