揺さぶる生命
笹子ゆら
(わたしは 生まれたかったのだろうか)
(笑ってしまいたくなるほど高慢な嘘を)
(吐くことであなたは生きているけれど)
半分だけ満たされた胎内で目が覚めた
夢か現実か の判断は つかないけれど
確かめるのもばかばかしいので
それはそれでと 安心するふりをする
アーチ状に作られた思い、あなたのためよと嘯いて
本当は多分 あなたの気持ちなんて関係ない
わたしが主役になればそれでよかった
生きているということを実感すら出来れば
酷く、満足で
はじめから 誰か のためには生きていない
やさしくされるせいで増えた湿疹も
時々欲する甘い誘惑も
……深く溺れるのは、要らないと思っていた、誰かのせい よ
(なんにも欲しくはなかったはずなのに)
心の奥底に眠る好奇心に負けて動いていた
(小さな囁きに鳥肌すら立てていたのに)
その誤魔化された視線を掴み取りたくて
この世に価値なんて見出していない
生まれたくもなんともなかった
そう思えれば十分だった
これが夢であればいい なんて意味が無い
わたしだけだとくだらない
火照った身体をあなたに任せたのは
ほんの 冗談のつもりだったというのに
誕生してから十数年、どうして今更、揺るがすの