帰り道
kauzak

駅から我が家への道の半ば
江戸時代に開基された由緒ある寺で
お通夜が営まれている

普段は併設された幼稚園の園児が
遊んだり運動したりしている地蔵堂に
祭壇が設えてあって

地域の生活道路にもなっている
寺の境内を抜ける路地に面して
受付が設置されている

路地を家へと急いでいた僕は
その光景に出くわして驚きながらも
部外者ゆえ黙礼して行き過ぎる

他人の家に土足で上がり込んだようで
街の中で人の死をこんなに近くに感じて
落ち着かない

けれどベッドタウンで僕らが生まれる前は
当たり前だったのかもしれない
と思い直してみたりもしている


自由詩 帰り道 Copyright kauzak 2009-04-30 01:01:49
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