果樹園
あおば

                    090429

バナナの実をもいで
大人たちが笑う
バナナは
食べられても
痛くない振りをしている
南国の
強烈な太陽で
鍛えられているのだ
肌は

燕が飛んでゆく
果樹園の周りには
水田が拡がっていて
もうじき田植えが始まり
学校帰りの高校生が俯いて通り過ぎる
トラクターが唸り
老人が田植機を運転して
県道を横切ってゆく
眺めているのは余所者くらいで
みんなは忙しくて
燕に負けないくらいに素早く
あちこちに出没する
だから
果樹園の中の作物は
守られているつもりだが
この季節だけは安心できない心理になっている


自由詩 果樹園 Copyright あおば 2009-04-29 10:51:06
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