眩しいため息
あおば
090427
時分の花を
咲かせましょう
咲かせた後で
実を付けて
太らせて
実をもいで
欲しいお方に差し上げましょうと
美しい花が咲く
美味しい実が成る花の木を育てたい
初老のスダ爺も呟いた
ノグチゲラが赤い実を
クチバシで実をもいで
子供たちは空を見る
あんな高いところにあるものは
あいつに任せて
わたくしたちは
手の届くので我慢する
空を飛ぶエアコンのロボットがあればなぁと
思う子がいても
それは無理ですよね
大木のスダジイが実を付けて
地に播いて
みんなに美味しい椎の実を配っている
数を数えられない幼い子も
数えられる子も
懸命に拾うので
庭の内には一粒もなくなって
大人たちは少しほっとする
食べられる木の実が
雨に濡れ
腐って駄目になるのは
もったいないし
芽を出して
育ったとしても
庭の内に
これ以上
大木になる木は置けないと
子供たちの行いを好ましく嬉しく見守った
これで
スダジイも安心しているかも知れないと
スダ爺は蘊蓄を傾ける
普遍を求めて透明になるのには
スダ爺も嫌なので
ときどき訪れる若者に
誰でも時が来れば分かることを
悠久の心理のような顔をして
少しもったいぶって
話す
話に夢中になり
身体も熱を帯びて
疲れてしまう頃
スダジイの実は
コトリと
落ちるのだ
大人たちも微笑んだ