砂漠の中の砂時計/海岸前線Ⅰ
海里

ケルトの白馬のように
ナスカのハチドリたちのように
空を巻き込むように
海と陸とで波が白いよ

空は空で
海と陸とのあわいをも
可笑しく見つめているのだろう
きっと今もいつも

国境線や日付変更線
などという線が本当にはないように
海岸線だって
本当には幾筋もひけるもの

さらさらと
波打ち際に
海からの貝がら前線が描かれる

さくら貝とか
何かを探すときにはね
波打ち際ではなく
打ち上げられたものたちが象る帯を歩くといい

運ばれて来て
取り残されたものたちが描く
きれぎれの帯に沿って歩くといい


自由詩 砂漠の中の砂時計/海岸前線Ⅰ Copyright 海里 2009-04-26 22:33:03
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