ファンタジア
水島芳野
祈ることしかできないと言った
君の傷ついた指先の白さと潔白が
フリージアの訪れで、彩られればいいと思っていた
真摯な言葉で幾度となく揺さぶられた
僕の孤独も
いっそ清らかなまでに傲慢な
君の手首の傷も
なんて、やさしい。
穏やかな日差しに浮き彫りにされるような
罪深い僕らの日常を
愛しい誰かの骨を拾うことで
あがなおう、なんて
僕は告げる
純潔だ
一点の染みもない美しい白だ
降り注ぐ雨に似た洗礼だ
君は誓うだろう
睫毛の上の雨粒を振り払って
青ざめるほどかなしい
暖かな夢物語を
うそぶく。