ファンタジア
水島芳野

祈ることしかできないと言った
君の傷ついた指先の白さと潔白が
フリージアの訪れで、彩られればいいと思っていた

真摯な言葉で幾度となく揺さぶられた
僕の孤独も
いっそ清らかなまでに傲慢な
君の手首の傷も








     
  なんて、やさしい。



穏やかな日差しに浮き彫りにされるような
罪深い僕らの日常を
愛しい誰かの骨を拾うことで
あがなおう、なんて
僕は告げる




     純潔だ



一点の染みもない美しい白だ
降り注ぐ雨に似た洗礼だ


君は誓うだろう
睫毛の上の雨粒を振り払って


青ざめるほどかなしい
暖かな夢物語を
うそぶく。


自由詩 ファンタジア Copyright 水島芳野 2009-04-26 18:07:16
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