スモールタウン
霜天

十九、までは数えた
そこから先は途切れがちになった
よく躓いてしまう君の後ろで僕は
ありふれた、馴染まないままの歌を歌った
スモールタウン、僕らがかたちになりかけた頃
この腕に抱ける言葉が、世界、だった
朝焼けがやけに広かった記憶
かすめるたびに
見上げてしまう


この道がどこまで続くのか、なんて
世界はもう、閉じてるのかもしれない
さえずるように告げた君は
そのたびに躓いて
間違った公式で僕らを積み上げてしまう
スモールタウン
ここは毎朝入れ換わって
夜には元通りになるらしい
輪廻って言葉を信じてる、君は回っているんだという
その通りならこの街は、淀んでいるのかもしれない
流行りの歌が吹き溜まっていく
僕は一つも覚えられないままだった



十九までは数えられた
そこからのかたちは、崩れてしまった
スモールタウン、突き付けられた朝焼けは
どこまでも悲しい、赤だった



十九、二十
数え終わった君たちが、僕の隙間から零れていく
静かな畦道、遠くはない、声
見上げてしまいながら僕は
帰れない声を
吐き出していく


自由詩 スモールタウン Copyright 霜天 2009-04-26 15:41:37
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