誕生日
たもつ
海の匂いがする
わたしが産まれてきた
昔の日のように
テレビの画面には
男のものとも女のものともわからない
軟らかな性器が映し出され
母は台所の方で
ピチャピチャと
夕食の準備をしている
父は生きている間
階段の手すりを作り続けた
明日こそ代わりに完成させよう
と思うけれど
この家には最初から
二階なんてなかった
ふすまが誰かの眼のように
少し開いている
その向こうで
夕闇が小さな
産声をあげた
自由詩
誕生日
Copyright
たもつ
2009-04-25 15:36:44
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