春玉ねぎ
ことこ

灰色の空 雨の日は憂鬱
窓辺で雨粒がご挨拶
ご機嫌いかがと親しげにいわれても
あいむふぁいんと返す気分じゃない


めくり忘れたカレンダーに並ぶのは
反芻した日々
雨の匂いが染み込んで
気付けば壁へと色移り


いくど鉛筆を走らせても
たまっていくのは消しゴムのかす
うっすらと跡がついた便箋を
宛名のない封筒にしまう


(向かい側のホームにすべりこんだ電車に
飛び乗ってしまえばあなたに会えると知っていた)


耳の後ろのかさぶたは
はがれないまま残っている


自由詩 春玉ねぎ Copyright ことこ 2009-04-25 00:03:30
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